文藝別冊 氷室冴子

文藝別冊 氷室冴子

氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)

 


氷室先生の人となりを知る方々への新しいインタビュー、単著未収録作など、充実の内容。「青春小説家」という位置付けもいい。

近藤勝也氏、榎村寛之氏、田中二郎氏などの文章は、氷室先生が語っていた未発表作の構想にふれており、読みたくて身悶えする。
嵯峨景子氏は、氷室冴子研究本を準備中との情報。新作を発表なさらなくなってからの氷室先生のことも、取材しておられるそうだ。
三浦佑之氏による「銀の海 金の大地」評もある。銀金は、ジャパネスクに比べて評論も少ないのでうれしい。古代が舞台の少女漫画まで目配りしていて、さすがあの作家のお父様!

コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録

 

コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録

コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録

 

 題のとおり、公式のカタログです。情報量がすごい。

氷室先生登場よりさらに以前のコバルトのラインナップは、面白かった。「コバルト風雲録」のような裏話は期待しないで読まれるといいと思います。

蘇我の娘の古事記

 

 

蘇我の娘の古事記

蘇我の娘の古事記

 

 

 伝承され続ける神話を織り交ぜながら、一人の女性と家族の運命を描き、 そして古事記の成立秘話でもある物語です。
この作者の方が銀金を読んでいらっしゃるのかはわかりません。が、私は「銀の海 金の大地」のエッセンスを感じました。
銀金が中断し、氷室冴子先生が亡くなり、先生のワープロをのぞいてでも銀金の続きが読みたいと思っていました。でも、こんな物語をまた読むことができるのなら、それが私の読むべき銀金なのかな、とやっと少し思うことができました。

「銀の海 金の大地」のその後

headlines.yahoo.co.jp

 

全く更新できていません。今後も、定期的な更新は無理そうです。すみません。

 

さて、気になる記事を見つけました。(以下、事実誤認があり、修正しました)

これまで応神天皇とされてきた「ホムタワケ王」が、「ホムツワケ王」ではないかというものだ。

ホムツワケ王は、「クララ白書」の劇中劇「サホヒコの反乱」にも、「ヤマトタケル」にも登場します。垂仁天皇(伊久米の大王)と佐保姫の子供です。

応神天皇は、神功皇后(息長帯姫)の子供です。この息長帯姫は、須久泥王と葛城の姫の子供。「羽衣の姫」に出てくる赤ちゃんはこの人と思われます。

記事を見て興奮しました。長年の疑問の手がかりだからです。

銀の海 金の大地 真秀の章」の終盤と番外編には、明らかに次世代への布石として、幾人かの子供の誕生(あるいはその予兆)が描かれます。日触王、景行天皇神功皇后、佐保姫と大王の結婚から予感されるホムツワケ王の誕生。

でも、古事記では、彼らはまったく違う世代の人物です。どう処理するのかと思っていました。

ホムツワケ王=ホムタワケ王というまさかのひねり技で神功皇后と結びつける?!炎の中から助け出されたホムツワケ王を息長帯姫が育てたとか?

氷室冴子先生の考えは、もう知りようがありませんが、まだまだ新しい想像を広げられるようです。

ぽつぽつ再開します。

 少し時間がとれるようになったので、ぽつぽつ再開します。

 ずっと前の話で恐縮ですが、2015年3月7日の日経新聞夕刊「文学周遊」欄で、「海がきこえる」が取り上げられています。拓の実家と同じように浦戸湾を見下ろす家、市の中心にある帯屋町商店街、夕暮れの鏡川など、高知市の各所をめぐります。時間が過ぎ、街が変わっても、小説の情緒を味わえる場所はたくさん残っています。
 また、2016年5月号をもって雑誌Cobaltが休刊し、Webマガジンに移行しました。隔世の感があります。

 今後は、テーマを替えて、妊娠・出産・育児の本について書いていきます。
 三人の子どもを育てている中、読んでいて、紹介したい作品がたくさんあります。少しでも興味を引く作品を紹介できれば、うれしいです。

 もちろん、氷室冴子先生についても、情報があれば更新したいです。

ユリイカ平成26年12月号

ユリイカ「百合文化の現在」に、嵯峨景子「吉屋信子から氷室冴子へ」という論考が収録されている。氷室先生については、「さようならアルルカン」「白い少女たち」「クララ白書」を軸に、誠実な議論という印象だった。特に百合を強調している感じではない。

 

 

物語るあなた 絵を書く私 萩尾望都対談集1990年代編

 「氷室冴子読本」に収録されている氷室冴子先生と萩尾望都先生の対談は、「物語るあなた 絵を書く私 萩尾望都対談集1990年代編」にも再録されている。再録は、イラストやマンガのページがふんだんに引用されていてわかりやすい。
 あとがきで、萩尾先生は「氷室冴子さんとは、よく宝塚の観劇をご一緒させていただきました。彼女の作品の『銀の海 金の大地』は未完成のままです。この全構想(おおよその)を以前伺っていたので、もう続きは読めないのかと、それも惜しまれます。」とお書きになっている。ああ!