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「海がきこえる」 里伽子の父

海がきこえる (徳間文庫)

 

 人の親になって「海がきこえる」二冊を読み返したら、里伽子の父に腹が立って仕方なかった。不倫して離婚したのは仕方ないとしても。

 

 まず、高校生の里伽子が東京に行ったときのことだ。里伽子がひとりで拓の泊まるホテルに来たとき、父親は何をしていたのか。推測だが、里伽子をマンションに泊まらせ、美香と旅行に出発したが、美香の色に染まったマンションに耐えられなくなった里伽子がでてきたのか。アポなしで会いに来るほど思いつめていた娘に、もっと配慮できなかったのだろうか。また、子どもたちの親権を持っているのは母親と推測されるが、母親に連絡した様子がない。

 

 次に、里伽子が母親をだまして東京の女子大に進学した際、金銭的な援助は全面的に父親がしたのだろう。しかし、父親はそのとき、母親に連絡しなかったのか。まずは母親の同意を得るように諭したうえで資金を援助するのが筋ではないのか。

 

 また、離婚の原因となった元不倫相手の美香と娘の里伽子を仲良くさせようとするのが理解できない。自分が父親だったら、里伽子と会うときに美香を同席させないと思う。「うまくやれないのは面と向かって会うから」と大学一年生にして悟る里伽子が哀れだ。

 

 美香が「私は伊東と恋愛したのであって、その娘のお守をする義務はない」と怒るのももっともだ。里伽子も「私は伊東の娘だが、その後妻と仲良くする義務はない」と同じだけ怒っていい。二人にはその権利がある。そして、怒りをぶつけるべきなのは父親だ。

 

 また、美香の妊娠を里伽子に告げるためにセッティングした席に、父親は同席すらしなかった。これは父親の責任放棄としかいいようがない。女同士の方がいいなんて、言い訳にもならない。腹が立ってしかたがない。