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海がきこえる 連載と単行本の異同

海がきこえる (徳間文庫)

 

 連載と単行本は大きく違うと聞いてはいましたが、二十年以上前の雑誌を探す労力を思い、ためらっていました。しかし、連載にはキスシーンがあるとか、拓と松野と里伽子と知沙が旅行するとか聞いたら、単行本と文庫の変更箇所なんていう重箱の隅をつつくようなことしている場合じゃないと思い、探しました。(幸い、図書館でほとんど閲覧することができました)

(1)ストーリー

 同窓会のあと、拓と里伽子がキスする。不倫相手ともめた知沙が突然高知を訪れる。四人で四万十川へ泳ぎに行く。知沙を追いかけて浩一も高知に来て、松野と一緒に拓の実家に泊まる。

(2)拓 

 里伽子にキスしたり、ジャニーズ岡田に喧嘩を売ったり、より能動的な性格になっている。苗字のふりがなが、連載第1回ではもりさき、それ以降はもりざきとなっている!(単行本ではもりさき)

(3)端役

 東大一直線で実家が漁師なことを嫌がる浅井とか、里伽子を狙う合同サークルの部長次野とか、単行本に出てこない端役もいる。里伽子の弟の貢は、名前が登場するだけではなく、拓に偶然会うシーンがある。姉にちゃん付けで呼ばれている。

(4)浩一

 田坂浩一は、連載では墨田という苗字で、知沙とは同じ高校で一年上ということになっている。高校時代つきあっており、墨田の浪人中に別れ、同じ大学に同学年で入って再会。知沙の不倫の相談役になる。単行本よりもさらに悟った性格をしている。

(5)アサシオ山尾

 体格のせいで目立ちすぎて、ウラ番のうわさを立てられる。拓が東京へ進学するからといって東京の医大を選ぶくらい拓を慕っている。拓も、別格の松野を除けば、山尾が一番の友達と思っている。同窓会の後、小浜を海に誘ってOKされる。

(6)小浜

 連載第1回では祐実、それ以降は裕美と表記される。高校3年の時は、美人で都会的で凛々しい里伽子に強くあこがれ、里伽子と一緒にいることで自信をもてたという。山尾と小浜が海に行くことを知った里伽子は、東京の医学生をキープしていることを神戸の女子大の友人に自慢するのだろうと、かなり辛らつなコメントをする。里伽子と小浜の関係性は、切らないでのこしてほしかったな・・・。

(7)全体

 雑誌の方が説明が多い分泥臭い印象となっている。説明的な部分を大胆にカットしたことで、単行本「海がきこえる」の端正な空気がうまれたと思う。しかし、雑誌版も捨てがたい。

 探してでも読んで、本当によかったです。他にも面白い異同があれば、ご存知の方ご教示ください。