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「クララ白書」しのぶの愛読書

クララ白書 2 (コバルト文庫)

 桂木しのぶは、クラシックな日本の少女小説を愛読している。その筆頭は吉屋信子だが、大林清「母恋ちどり」も愛読書として挙げており、初版から新装文庫版(2001年)まで一貫している。

 この作品は、インターネットで検索する限り、1950年頃にポプラ社から出版され、1961年に再刊されているが、それ以降の再刊情報は見つからない。1957年生まれの氷室冴子先生自身は、「マイ・ディア」のあとがきで、大学生になる頃(1975年頃か)貸本屋の閉店セールでこの本を手に入れた思い出を語っている。

 すると、しのぶはこの本をどうやって手に入れたのだろう?

 旧文庫版のしのぶは、1980年に中学3年生ということになり、新刊書店での購入は難しそうだ。やはり古書店だろうか。

 そして新装文庫版の、2001年に中学3年生(1986年頃生まれ)のしのぶにとっては、さらに入手が難しくなる。私は、「お母さんが貸本屋の閉店セールで買った本をしのぶが借りて愛読するようになった」説を提唱したい。2001年に高3、中3、中1の子供がいるお母さんは、氷室先生と近い世代と考えられる。お母さんが、氷室先生と同じように「母恋ちどり」を購入し、それをしのぶが読むようになったのと考えるのは楽しい。

 ただ、氷室作品の多くにあてはまることだが、「クララ白書」もヒロインの母親の影が薄い。(菊花の母親ほどではないが。私は長いこと、菊花は母と死別しているのだと思い込んでいた。再読したら母親もいることに気づいて仰天した。しのぶ達が佐倉家に遊びに行くときも父親しか登場しないが、母親は何をしていたんだろう)

 だから、しのぶがお母さんの本を愛読しているという考えは、キャラクターの根本的な設定を揺るがしてしまうのかもしれない。そうすると、古書店で掘り出し物を見つけたのか、お姉さんが古本マニアなのか、などとさらに想像が広がる。