「アグネス白書」におけるエドワード・ロチェスター
「アグネス白書」旧版で、しのぶの理想の男性は「レット・バトラーもどきが、ブランデンブルク協奏曲をしょって、劇的に登場」とされている。だが、「菊花のマル秘創作ノートより」で、本当は「ジェイン・エア」のエドワード・ロチェスターが好きだが、顔がイマイチで人に馬鹿にされるからバトラー好きと公称していると明かされる。
私は顔云々のくだりを読んで、しのぶは映画版のロチェスター役の俳優が好きなのだと思い込んでいた。だってロチェスターは、若いとき踊り子と遊び、精神を病んだ妻を閉じ込めて、結婚式の席で重婚が暴露される男ですよ?俳優が好きと考える方が、まだ納得できる。
だが愛蔵版には「創作ノート」が収録されていない。本文は「ブランデンブルクをしょったエドワード・ロチェスター」となり、マッキーが「無作法で強引で、でも男っぽい小父さんでしょ。そういう理想もってると、世間に出てOLになったとたんに、上司と不倫するんだよ」ときついツッコミを入れる。
原作のロチェスターが好きとは意外だ・・・。ロチェスターに対する(私のような)批判的な意見を受けて、マッキーのツッコミが加筆されたのだろうと思う。
また、「冴子の東京物語」収録の「アンケートをとりたい」に、20代後半になったら、かつてカッコイイと思っていたヒーローを「一緒に生活したら疲れる」「ダンナにしたくないタイプ」などと考えるようになってしまったと書かれている。マッキーのツッコミには、このあたりの影響もあるのかもしれない。