「源氏物語」とジャパネスク 2

 桐壷女御は、かなりはっきりと桐壷の更衣を連想させるよう書かれている。名前と、後宮での頼りない立場。大納言の女(むすめ)として入内すると、立場が弱い。
 作中にはもう一人、大納言の女が登場する。そう、瑠璃姫である。何不自由ない姫君のイメージがあったが、今回再読して、登場時には大納言の女(2巻で内大臣の女になる)だと気づいた。本人も親もそもそも後宮入りを考えないから、大納言の女であることをひけめに思う必要がないのだが。
 また桐壷女御(絢子姫)は、帝の妻でありながら、帝の近親者と密通して子供を産んでしまう、藤壷中宮にも似ている。桐壷更衣と藤壷中宮の両方と共通点をもつ女性、絢子姫がたどった運命は、源氏物語よりもさらにドラマティックかもしれない。