「北里マドンナ」 飲み物について

北里マドンナ (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

 高校生のとき、友人に「北里マドンナ」を貸して読ませたら、「ペリエが常備してあって子どもが水代わりに普通に飲んでいい家庭って、すごいブルジョワ」という感想だった。(当時は、「セレブ」という言い回しはなかった)私はそのころペリエを知らなかったが、大人になって店頭で値段をみて、その感想に納得した。

 再読して、気になったのは、内弟子の雅子さんが家に遊びに来る北里の友達に、平気で酒を出すことだ。多恵子や今西に梅酒ペリエを、なぎさにビールを出す。槇も家に遊びに来るが、飲み物に関する言及はない。雅子が対応しなかったのかもしれない。野枝は、日舞の弟子としてしょっちゅう来訪するので、いちいち酒を出さないと思われる。

 氷室冴子先生の作品には、未成年飲酒シーンは多く、ここでそのことの善悪を問いたいとは思わない。ただ私が高校生のとき、友達の家に遊びに行って、いきなり家の人が酒を出してきたら、かなり驚くだろう。すごい家だ。