本の雑誌 2008年10月号

 

 本の雑誌200810月号の特集「少女小説の逆襲!」は、明らかに氷室冴子先生の訃報をうけて企画された、実質的な追悼特集である。

「コバルト風雲録」著者でもある久美沙織先生が、エッセイで思い出を語る。氷室先生は、消費を拒む、時代がどんなに移り変わっても愛される作品を目指していたと論じる。

 80年代コバルトのベスト10、堂々の1位は「恋する女たち」だ。(私がリアルタイムでコバルトを読んでいたのは、90年代前半なので、その時代のベストも作りたい。1位は「銀の海 金の大地」だ。前田珠子若木未生桑原水菜は当然入ってくる。山浦弘靖、日向章一郎も支持者が多かった。若木未生は「グラスハート」をとりたい。敬称略。脱線した)書店員の方が、ほぼ全ての氷室作品を再読する企画もある。

 他にも「パレアナ」(「ライジング!」や「マイ・ディア」にも登場!)から「雨の日はいつもレイン」まで、おもしろい作品がたくさん紹介されている。「少女小説」という言葉は、氷室先生にとって苦いものだったと思うが、上質な作品がたくさんあった。多くの読者が少女小説をとてつもなく愛していたことが、特集のあちこちから伝わってくる。

 氷室ファンならば読んで損はない特集だと思う。