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「雑居時代」 (氷室冴子)数子と譲叔父さんの関係

 雑居時代〈1〉(Saeko’s early collection〈volume.7〉)

 日本の民法上、叔父と姪は三親等の傍系血族にあたり、結婚できない。

 しかし、「雑居時代」の1982年コバルト文庫版で、主人公の倉橋数子は、血のつながった父方の叔父である譲に真剣に恋し、結婚を夢みている。譲と別の女性の結婚が決まったときには、「夜中に離れに忍び込んで、こども(ルビ/ガキ)のひとりもこしらえとくんだった!」とまで思いつめている。

 また、数子の同志の鉄馬も、「今日び、姪と叔父の結婚はあり得ても」と考えているので、数子が一人で叔父と姪の結婚について勘違いしているわけではない。

 初読のとき、どう解釈したらいいか悩んだ。私なりの結論は、「この世界は、叔父と姪の結婚が認められている、パラレルワールドの日本である」ということだ。それならばいろいろ不思議な設定や展開があっても、パラレルワールドだから何でもありと納得できるというおまけもある。

 だが、1997年愛蔵版には、数子の祖父が親友の忘れがたみを引き取って養育したのが譲で、二人は赤の他人であるという説明の一パラグラフが挿入されているのだ!

 確かに、そのほうがよほど自然に小説が成立する。だが、なぜ1982年版では実の叔父姪になっていたのだろうか?うっかりにしては信じがたいレベルのミスだ。納得できる解釈があれば、是非知りたいです。