2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「クララ白書」信頼できない語り手としてのしのぶ

しのぶは、光太郎のことをどう思っているのか? 「好きだ」「付き合ってほしい」というはっきりした言葉や、キスなどの関係はないようだ。だが、週末にしょっちゅう会い、光太郎が映画や食事やケーキをおごり、車を出し、会えないときは手紙を送る。光太郎は…

「クララ白書」人気者の物語

「クララ白書」の重要人物たちは「徳心スター」といわれる人気者ばかりだ。しのぶ、マッキー、菊花、高城、虹子、白路、三巻、夢見・・・。人間関係が苦手な朝衣も、最終的には学園にとけこみ、生徒会の議長となる。今の言葉で言えば、「スクールカースト上…

「クララ白書」寄宿破りの倫理

氷室冴子先生は、「ざ・ちぇんじ!」愛蔵版あとがきで、文庫が出版された当時「帝が最後までだまされたままでかわいそう」という読者の意見が多かったことを紹介し、読者って倫理的だという感想を述べている。 「クララ白書」シリーズを最初に読んだとき、倫…

氷室冴子作品 名前の重複

たくさんの氷室冴子作品の中には、同じ名前の人物もいる。 まず、主人公なのに名前が重複している「ターン」の田中鞠子。「ライジング」で祐紀のライバルとなる樋口鞠子と同じ名前だ。 細かいところになると、井上。「雑居時代」の鉄馬のテニス部の後輩井上…

「なんて素敵にジャパネスク」イラストとキャラクター描写

藤本ひとみ「まんが家マリナ」シリーズの第一作「愛からはじまるサスペンス」本文では、マリナの外見の描写が非常に少ない。美人でない、平凡な白いブラウス、スカート程度である。背が低い、眼鏡、前髪を結んで「チョンチョリン」をつけているなどの容姿は…