2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「雑居時代」 (氷室冴子)数子と譲叔父さんの関係

日本の民法上、叔父と姪は三親等の傍系血族にあたり、結婚できない。 しかし、「雑居時代」の1982年コバルト文庫版で、主人公の倉橋数子は、血のつながった父方の叔父である譲に真剣に恋し、結婚を夢みている。譲と別の女性の結婚が決まったときには、「…

承香殿の女御(「なんて素敵にジャパネスク」氷室冴子より)

「なんて素敵にジャパネスク8 炎上編」のあとがきでは、続編はアンコール編となることが予告されている。結局発表しないまま氷室冴子先生は逝去されたが、誰を主人公とした作品が構想されていたのだろうかと、あれこれ想像が膨らんでしまう。 私が一番読み…

「恋する女たち」のフードシーン

「クララ白書」シリーズにはかわいらしいお菓子がたくさん登場するけれど、ほぼ同じ時期に書かれた「恋する女たち」では、お菓子の描写がほとんどない。あっても無骨な雰囲気だ。主人公の多佳子が友達への手土産と思って買うのは、岩見沢名物天狗饅頭である。…

「クララ白書」シリーズのフードシーン

「クララ白書」といえばドーナツ。女子校の寄宿舎に中途入舎する中学三年生のしのぶたちが課されたテストは、真夜中に調理室へ忍び込んで四十五個のドーナツを揚げることだった。シナモンシュガーのかかった揚げたてのドーナツをつまむシーンは、読み返すた…